仮想空間サービス比較 (アメーバピグ、ニコッとタウン、ぺたっとセルフィ)


下記の記事は 2010/3 頃のもので,各サービスとも内容が大幅に拡充されているため,現在の内容とは食い違っています。あくまで、過去どうであったかという参考資料として、記事を残しておきます。



概要といきなり結論

最近流行ってるらしいと聞いて試してみた。とりあえず目についたアメーバピグ(http://pigg.ameba.jp/)、ニコッとタウン(http://www.nicotto.jp/)、ぺたっとセルフィ(http://www.atgames.jp/atgames/html/blogparts/index.html)の三種類にアカウントを作って試した。この手のものでは、プーペガール(http://pupe.ameba.jp/)というのもあるけど、ほぼ女性専用みたいなのでパス。

最初に結論をいってしまうと、

  • ファッションにこだわらないならアメーバピグ
  • 見た目のかわいさやファッションにこだわりたいならニコッとタウン
  • どうしても MIXI のアカウントを活用したければぺたっとセルフィ

というところ。純粋にコミュニケーションツールとして見ると、今のところアメーバピグのできが良い。セルフィは MIXI 連動という点以外に見るべきところが今のところない。ファッションに興味のある女性なら、プーペガールアメーバブログという選択肢もあるかもしれない。プーペアメーバブログの一部と連携している。

以下、全体的にピグを最も評価するような書き方になっているので、ピグが嫌い(or他のサービスが好き)な方はこのあたりでお帰りいただいた方がいいかもしれない。ただし、あくまでいろいろ比べてみた上での評価なので、ひとつの意見として参考にしていただければと思う。

仮想空間サービスの概要

ここでいうところの仮想空間サービスは、アバターと呼ばれる仮想世界の中での自分の分身のようなキャラクタを作成して、おしゃれをさせたり他のアバターとチャットしたりできる。自分の部屋に家具を置いて友達のアバターを招待したり、オセロのようなちょっとしたゲームを一緒にやることもできる。

ブログなどの他のコミュニケーションツールとも連動している。というよりも、むしろブログだけでは難しい、ユーザ同士のリアルタイムなコミュニケーションを助けるツールとして、ブログを補完するような形で導入されている。この部分が昔の PAW のような「仮想空間のみを提供する」サービスから(おそらく)最も進化している部分で、MMORPG のようにレベルアップや敵を倒すという目的がなくとも、「コミュニケーションツールとして」仮想空間を使いたくなる仕組みがいろいろと散りばめられている。

逆に言えば、仮想空間で一人で何かして遊ぼうと思って始めると、すぐにやることがなくなって飽きる(おそらく)。日ごろ直接会うことが難しい遠くの友人とのコミュニケーションに使うとか、ブログを書くついでに読者を増やす方法の一つとしてやってみるとか、気が合いそうな人を見つけて趣味や日々の暮らしについてとめどなく話すとか、そういう感じの用途には向いている。仮想空間で何かを成し遂げて達成感を得たいとか、現実世界を忘れて仮想世界に没入したいというような人は、素直に MMORPG に行った方がいい。

なお、上記4つのサービスはいずれも基本は無料だが、アバターに着せる服や自室における家具などは、有料でしか買えないものが多い(むしろ課金せずに手に入るモノのほうが少ない)。

動作環境については、私はブラウザを Opera をメインに使っているのだが、アメーバピグとニコッとは Opera 10 で動いた。セルフィは動かない。IE 8 ではピグとセルフィ、ニコッととも動く。ニコッとは IE 6 以上を推奨、ピグは IE 8 を推奨(IE 6 でも私のところでは動いた)、セルフィは IE 6 のみ対応(しかも Windows 2000/XP のみ対応)と書かれている。

アバター(仮想空間の中での自分の分身)

それぞれのサービスにおけるアバターは、文章で説明するより見た方が速いと思うので、キャプチャしたものを張る。女性のアバターを見たければ、次のページを参照されたい。( 「ピグ」「プーペ」「ニコッと」女性になぜ人気 共通点を考えてみた - ITmedia NEWS )

アメーバピグ ニコッとタウン ぺたっとセルフィ
http://www.royalcrab.net/Images/pig_avater2.png http://www.royalcrab.net/Images/nicotto_avater1.png http://www.royalcrab.net/Images/seru_avater1.png

ピグは二頭身のデフォルメキャラで、ややコミカルな感じ。ニコッとは四等身で、お洒落さを重視している感じ、セルフィは三頭身くらいでこれらの中間という感じだ。。最初に選べる顔のパーツの種類は、ピグが圧倒的に多い。ニコッとは初期状態で選べる髪型が4種類しかない(あとで有料で別の髪型にすることは可能)。セルフィはデフォルトでペットがいるところが他の二つと違う。ペットは常時アバターについてまわる。なお、ペットを飼う機能そのものは、ニコッとやピグにもある(いずれも有料)。

また、キャラクタの見かけはニコッとが洗練されてはいるが、モーション(動き)は明らかにピグの出来が良い。歩き方を見ても、ニコッとはかなり不自然な感じに歩く。セルフィの歩き方はニコッとより幾分マシだが、ピグに比べると軽快さでは劣る。また、止まっている状態のときに、ニコッとのアバターは全く動かない置物のようだが、ピグはアバターが瞬きしたり、居眠り状態になったりと動きがある。このあたりは、両方のサービスでアバター作って比べてみると、「動き」の重要性が実感できると思う。

通貨

通貨は、無料で手に入る「無料通貨」と、現金を支払って購入する「有料通貨」がある。いずれも、仮想空間内で使えるアイテムと交換できるが、無料通貨で交換できるアイテムと、有料通貨で交換できるアイテムは異なっている。というより、有料通貨でなければ買えないものがほとんど。

ニコッととセルフィは、課金(有料通貨を購入)しない限り、有料通貨でしか購入できないアイテムは手に入らない。なので、ある程度の知識があるユーザならば、「課金してないユーザ」かどうかを見るだけで判別できる。一方ピグは、有料通貨でしか購入できないアイテムをもらえる「引換券」を最初の時点で5枚持っている。この引換券を使えば、有料アイテム(の一部)が購入できる。購入できるアイテムに制限はあるものの、選べるアイテム数はかなり多いため、ユーザを見ただけで課金しているかいないかを判別することは難しい。とりあえずお試し的に非課金で始めても、町で浮いてしまうようなことがないという意味では、ピグの敷居がやや低いように思う。

初期状態の比較

ピグ、ニコッと、セルフィとも、最初からある程度の無料通貨と衣服を持っている。ピグは前述の引換券で衣服や家具を購入できる。キャラクタが二頭身で小さいこともあって、初期状態の服で出歩いてもそんなに恥ずかしい(浮いてる)感じはしない。一方でニコッとは、初期状態ではかなり素朴な服しか着ていない上に服がかなり目立つので、外に出ると周囲とのギャップで恥ずかしい思いをすると思う。ショップで、無料通貨で買える服を手に入れてから町に出た方がいいかもしれない。セルフィもニコッとほどではないものの、初期状態はかなりシンプルだ。

なお、セルフィは初心者マークが名前の横に出る。この表示をシステムで出す必要はないんじゃないかと個人的には思うが、初心者であることをアピールしたい人にはいいかもしれない。といっても、初心者マークが出ているからと言って、誰かが勝手に教えてくれるなんてことは勿論ない。自分からチャットなどで他の人に教えを乞えば、もしかしたら教えてもらえるかもしれない。

自分の家

いずれのサービスも、自分の「家(ルーム)」と「町(タウン)」があり、自分の家には家具を置くことができる。友達のアバターを自分の家に招待することもできるし、友達の家に行くこともできる。家に入れる人を制限することもでき、「誰でも入れる」「友達だけ入れる」「自分しか入れない」という設定を簡単に切り替えることができる。

ピグは最初に自分の家のデザインを三種類から選べる。どれを選んでも、机と椅子(座布団)二つの家具がついてくる。ニコッとは家の屋根の色は選べるものの、中身のデザインはどれを選んでも同じようだ。本棚などの家具が、初期状態でも置いてある。セルフィは家の選択肢はなく、初期状態では家具が何一つ置いてない。

http://www.royalcrab.net/Images/nicotto_room2.png
ニコッとのほぼ初期状態のルーム。なおこの画像は、この日記のレイアウトの都合で、サイズを実際の 1/4 のサイズにしている。

「町」はショップがあったりゲーム機が置いてあったりして、不特定多数のアバターが歩き回っていて、会話をしていたりする。中の人がいないアバターもいて、アイテムショップだったり何かの宣伝をしていたり、イベントの案内をしていたりする。自分のアバターは、町の中であるきまわることができる。

ピグは、行きたいエリアをリストから選んで、直接ワープするように移動してエリアに入る。エリアは例えば「渋谷106前」「淺草寺」「祇園」といった、実在の場所に模して作られていたり、また「AKB48学園」「ひなまつり広場」「古代エジプト」といった架空のエリアだったりする。

http://www.royalcrab.net/Images/pig_area1.png
アメーバピグ古代エジプトエリアのひとつ。ここでしゃべっているように見えるのは、中の人がいない、いわゆるNPC

ピグのエリアは互いにつながってはいなくて、例えばエリアの端から別のエリアへ移動できる、というようにはなっていない。あくまでエリアのリストから選んでワープして移動する。エリアには、最大30人までしか入れない(定員がもっと少ないエリアもある)ため、エリアが満員のときは「入室予約」をする必要がある。ただし、予約している状態でも、満員じゃないエリアになら自由に移動できるので、それほど待っているストレスはない。特定のエリアでしか手に入らないアイテムや、そのエリアでしかできないゲームなどもあるため、エリアに入れないとアイテムが入手できない、ということはある。

町の中では歩きまわることはできるが、移動することにそれほど意味はない。ショップなどが離れた場所にあっても、ショップをクリックすればアイテムを購入するウィンドウが開く。ゲームなどではゲーム機の前や、卓まで移動する必要がある。あとは、チャットした相手の前まで行くと、誰に話しかけているかが分かりやすい、というくらいだろうか。

ニコッととセルフィは、エリア同士がつながっていて、あるエリアの端までいくと隣のエリアに移動できたりする。とはいっても、マップから直接行きたいエリアを選んでワープすることもできるので、わざわざ歩いてエリアを移動する意味はないように思う。エリアに入れる人数の制限はないが、一度に表示できるアバター数に上限があるので、あまりエリアに多数の人がいると、表示されないことがある。あと、エリアの広さに大して表示画面のサイズが小さいため、エリア全体を見渡そうと思ったら、歩いてエリアの中を移動する必要はある。この点、ピグは画面の拡大縮小の機能があって、全体を容易に見渡せる。

http://www.royalcrab.net/Images/nicotto_map2.png

ニコッとやセルフィはゲーム画面が仮想空間の中に表示されず、ブラウザで別のページとして開かれる(「釣り」などの例外はあり)。仮想空間内を移動しなくても、直接ゲーム画面に飛べたりするので、そういった意味では仮想空間とゲームの連動性は低い。

(つづく?)