病を嗜む

副題の「病を嗜む」は、最近面倒な病気にかかって1年近い入院治療を宣告されてしまったので、それを皮肉って付けてみた。いまどき、闘病ブログとかたくさんあるけど、どうも闘うという表現がなじまない。私の場合、病気をほっとけば数年と生きられないのは確かな一方で、痛いとか苦しいとかの自覚症状が全然ない。本当に1年も治療しないといけないのか、いやそもそも本当に病気なのかと疑問に思うくらいに何もないんだけど、3回検査して3回とも同じ結果が出ているので、病状については疑う余地がないのよね。

基本的にはずっと入院しているので、仕事もできないしどこかにでかけることもでない。毎日病棟の中で、ベッドとトイレと診察室の間を往復するくらいの行動の自由しかない。でも幸い今の時代は病院でもネットはつながるので、こんな誰も見てないところに愚痴をかいてみたり、メールで多忙な知人に愚痴を送りつけてみたり、オンラインゲームで「私、死病なんですぅ」とか言って、嘘つきかまってちゃんだと思われてみたりすることはできる(言ってないけど)。

仕事もそれなりに順調に進んでいたところでもあり、上司や部下にも恵まれ、社外にも一緒にプロジェクトを進めようと意気投合してくれる人も増え、今年は何かできそうな気がしていたところにこれですよ。人生、いったい何が起こるか本当にわからないものですな・・・

あまりに信じられなくて、長期入院治療が必要と言われたときには、しばらくはどうしていいやら見当もつかなかった。しかし、こうなってしまっては仕方ない。この長期入院を人生の中断とか試練とか思うよりも、「今までできなかったことを1年間やってよし」という宇宙からの電波通信だと思うことにしてみた。そこで、長年やろうと思ってできなかったことをこの機会にやってみようと思っている。そんな意味も含めて副題を「病を嗜む」とした。

幸い、昔から趣味が結構オタクなものが多いので、パソコンとネットさえあればできるものが多い。途中でやめてしまった幾何学情報理論のいくつかの証明方法を考えるとか、ActionScriptflash のゲームを書くとか、マジックオンラインをやるとか、近未来SF小説を書いてみるとか、一時帰宅できたときに娘に楽器を教えるとか、究極のカルボナーラを作ってみるとかいろいろある。・・・意外にやりたいこと多いな。

もちろん、運が悪いと残り時間が数年しかないってこともあるので、全部をまんべんなくやっていたら、どれも中途半端に終わってしまう可能性もある。逆に治療に成功すればまた家には帰って寝るだけという仕事に戻ってしまうので、それはそれでできなくなると思う。それに、治療中は発熱したり悪心に見まわれたり目眩がして起き上がれなかったりといろいろ起こるので、いつも好きなことができるわけでもない。

この、不安定でなおかつ限られた時間をどう使って行くのか、これが私の今年のテーマになっている。・・・と、やや重いことを書いてはみたものの、たぶんただの多芸に無芸なオタクの、独りよがり文章みたいなのが1年続くだけになる気もする。すでにそんな感じになってるし。

というか、マジックの話と温度差がすごいんですけど、まあそういうかんじで気楽に行きましょうってことですわ。