ポップンミュージック(Pop'n Music)の練習法についての考察 (3)



かなり以前に、ポップンで難しい曲が叩けるようになるたにめに必要なことは、

  • あらゆるパターンを認識する能力を鍛える
  • 認識したパターンを再生できる、運指(運手)技術を習得する

という、やや抽象的なことを書いてた。ここでは、実際にどう練習したいいのかという方法論について、個人的な考えを書いてみたい。

上達するための効果的なルーチンワーク

手順をまとめると、下記のようになる。

  1. 弱点パターンの抽出: 譜面パターンで BAD や GOOD の出る場所を特定する。
  2. 原因の特定: BAD や GOOD が出る原因が「見切れていない」のか「叩けていない」のかを判別する。
  3. パターンの記憶:「見切れていない」パターンをそのまま覚え込む。
  4. 運指パターンの習得:「叩けてない」パターンを押す手(指)の動きを考え、動くようになるまで反復練習する。
  5. 統合練習: 実際の譜面をプレイして「見切れてる」「叩けてる」ことを確認する。

この中でも、1, 2 を行なわないまま、3,4 を克服する練習を漫然としてしまうことで、結果的にあまり上達しないという人をよく見かける。上達するためには、まず自分の「弱点」がどこにあるかを正確に把握することが重要なポイントになる。弱点が把握できないまま漫然と練習をすることは、上達という観点から見ると非常に効率が悪い。例えるなら、何の病気にかかっているか分からないままランダムに薬を投与し、その薬のうちのどれかが偶然当たって治療される、ということを期待するようなものだろう。何が弱点なのかが分かってこそ、初めてその克服法を考えることができる

弱点パターンの抽出

ポップンで、弱点の認識を効率的に行う方法として、下記の 3 つの方法がある。

  • 自分がプレイする様子(または画面)を動画で撮影し、BAD や GOOD の出る譜面パターンを特定する。

POPN の画面を録画するサービスをしている店舗が身近にある場合は、そのサービスを使って動画を得るのが最も簡単かつ効果的な方法だと思う。
これができない場合は、自分で(もしくは誰かに)動画撮影してもらうのでも良い*1。アーケード仕様のコントローラを持っている場合は、自宅の PS や PC などでのプレイ画面を録画するのでも良い。これらいずれの場合でも、自分が叩いてる手元も映るように撮影するとなお効果が高い。撮影する時は、「ある程度安定しているけど BAD がなかなか減らない」譜面か「何度やってもクリアできるかできないかギリギリの不安定な」譜面を選ぶと良い。こうした譜面を叩くと、弱点が顕著かつ安定的に現れる。同じ曲を3-4回叩いて撮影し、BAD 率や GOOD 率の高いパターンを抽出して、各パターンの苦手な度合いを数値化しておくとなお効率が良くなる。

  • 液晶筐体でプレイ後に表示される画面を撮影し、BAD, GOOD の多い譜面箇所を特定する。

液晶筐体では、プレイ中やプレイ後に、BAD / GOOD / GREAT の比率をかなり細かく表示する機能がある。これを利用すれば、BAD / GOOD の多い箇所を特定することができる。可能なら撮影してあとで見返せるようにしておくほうが、パターンの特定が正確に行えるのでより良い。どうしても撮影ができない場合は、プレイ終了直後に BAD の多かった位置をメモしておくと良い。この場合でも、自分ひとりで記憶するのではなく、誰か客観的に見てもらって位置を記憶しておいてもらうと、自分で記憶するよりも正確さが増すことが多い。

  • プレイ中に BAD, GOOD が出る箇所を記憶しておき、プレイ直後に譜面を見て叩けていないパターンを特定する。

液晶端末もなく、撮影もできず、なおかつ観察するギャラリーも用意できない場合は、必然的にこの方法になる。この方法の場合、プレイする前に譜面を用意しておき、プレイ直後に譜面をみて BAD のパターンにマークを付けると、かなり正確に苦手パターンを特定できる。漠然と BAD がこのへんで出るなーという程度にしか覚えていないと、つい自分の苦手意識から客観的に苦手パターンの把握がしにくくなり、自分で思っているほどは正確に特定できなくなる。なおこの方法を使う場合、クリアぎりぎりの曲だと BAD の出る箇所が多くなりすぎて覚えきれないことがある。そのため、選曲するときには安定してクリアはできるがフルコンボはできない、という程度の難易度の曲を選ぶほうが良い。

原因の特定

頻繁に BAD や GOOD が出るパターンを特定したら、そのパターンが「見切れていない」から叩けないのか、見切れているが手が動かず「叩けていない」のか、あるいはその両方なのかを判定する。

  • パターンが見切れていない場合の BAD/GOOD の出方

叩くたびに BAD や GOOD の出方そのものもがばらつくことが多い。同じ場所を叩いても、ある時はできるがある時はできない、といったことが起きる。こうなるのは、パターンを正確に認識できていないため、手を「場当たり的に」動かすところに原因にある。パターンが見切れてないと思われる場所を発見したら、そのパターンが印刷された譜面をみて、その通りに手が動くかを試してみると良い。難なく手が動くようなら、パターンが見切れていないだけの可能性が高い。

  • 手が動かず叩けていない場合の BAD/GOOD の出方

BAD/GOOD が出る箇所(ポップ君)が固定されていることが多い。これは、目ではパターンを追えているものの手が正確に動かないために、取り零しや押し遅れなどが起きるためである。譜面のパターンを見て、その通りに実際にボタンを押せているかを確認してみることで判定できる。BAD は出なくても GOOD が高確率で出るパターンについては、叩く手の動きに違和感(押しにくさ)を感じないかについても意識してみる必要がある。違和感を感じる場合は、パターンを叩く手の動かし方自体に無理があるか、叩けてはいるものの練習が足りておらず習熟度が低いかの、いずれかであることが多い。

  • 見切れてもおらず、叩けてもいない場合

ゲージが一気に減ってしまったり、ゼロゲージの状態が続くようであれば、見切れてもおらず叩けてもいないという、いわゆる「地力が足りない」という状態にある。この場合はもう少し難易度の低い曲を叩いて、弱点の認識をしたほうが良い。仮にゲージが残っても、BAD が全ノートの 5% を超えるようなら地力が足りていない可能性が高い。

パターンの記憶

見切れてないパターンを見切れるようになるには、パターンを暗記する方法が最も効率が良い。見切りたいパターンの譜面を見て、その譜面を見ながら手をその通りに動かすという練習を繰り返す。可能であれば、実際の筐体のボタンやアーケード仕様のコントローラを使って叩くと効果が高い。アーケードコントローラがあるなら、見切れていない譜面が繰り返し出現する譜面 (pms) を作成し、それを使って見切る練習すると非常に効果が高い。また、見切れていない譜面に近いパターンが頻出する(多少簡単な)別の曲の譜面を使って練習するのも良い。HS をいろいろ変更して、自分にとって最も見切りやすい速度を探してみるのも良い。

なお、純粋にパターンが見きれていないだけの場合は、そのパターンを暗記してしまえばすぐに叩けるようになる。

運指パターンの習得

この場合は、叩きたいパターン叩けるように手動くようになるまで練習する以外にない。個々のパターンをどう叩けば良いかについては、偉い人(人外?)たちによるアドバイスwiki に大量に書かれているので、そちらを参考にするといいと思う。

ただし、実際に叩く練習をする前に以下の2点を実行しておくと、練習の効率を上げることができる。

  • 自分の手の大きさ、腕の長さや体格などにあった叩き方を考える。

人によって手の指や腕の長さ、身長といった体格には個人差がある。指や腕の柔らかさ、力の強さなども異なっている。そのため、どんな叩き方が最適かは人によって異なっていて、共通の正解みたいなものは存在しないと思ったほうがいい。あくまで「自分にあった」(違和感の少ない、叩きやすい)叩き方を見つけることが重要になる。いろいろな叩き方を試してみて、どんな叩き方(腕の動かし方、指の動かし方)が叩きやすいのかを、自分で認識することが上達の早道であると思う。

  • 他人の叩き方を見て、その中から自分にあう叩き方を見つける。

他の人の叩き方を見るのは、そのまま同じように叩けないとしても、叩き方を考える上ではとても参考になる。他人の叩き方をそのまま真似ようとするのではなく、他人の叩き方の中から自分で叩きやすいと思う手や指の動かし方を見つけるほうが良い。可能であれば、叩き方が上手だとおもう人の手元画像を撮影させてもらい、それを研究するのが最も効率が良い。ただそういう恵まれた環境にいる人も少ないので、その場合はネットの動画を活用するのも良いと思う。手元動画は検索すれば見つかることも多く、それらを見るといろいろと参考になる。手がどのように動いているのかをスローモーションで再生しながら確認し、その通りに自分で手が動かせるのかを試してみて、自分にしっくり来るかどうかを試してみると非常に勉強になる。
また、立ち位置、立ち方、体と筐体との距離、腕の曲げ具合、手のホームポジションの取り方、ボタンからボタンに手を移動させるときの腕や手首、肩、体全体の動き、ボタンを押す強さ、押す向き、ボタンを押す手の位置(掌、指先、関節の位置など)、といった細かい部分まで観察すると、発見することが少なからずある。

練習成果の確認

ある程度練習したら、実際に叩いてみて弱点が克服できているかを確認する。少なくとも、同じ譜面を 2-3 回は叩いてみて確認する必要がある。1 回叩いてみてクリアできたり、スコア up していたとしても偶然ということもあるので、何回かやってみて平均的に BAD や GOOD が減っていれば、間違いなく上達していると考えて良い。このとき、どのくらい BAD, GOOD が減ったのかをメモしたり撮影しておくと、上達している様子が可視化されて客観的に把握しやすくなる。

なお、BAD や GOOD が思うほど減っていなければ、弱点の認識が間違っているか、練習が足りていないかのどちらかなので、弱点の把握から再度やりなおしてどちらが原因なのかを確認する。

どうしても手が動かないが、クリアだけはしておきたいという時

ガチで運指を練習して、きっちり叩けるようになるにはどうしても時間がかかってしまう。あんまり時間がかかると、やる気そのものが失なわれることもある。また、そもそも無理押しのように正確に叩くこと自体が不可能に近いパターンもあり、それを真面目に練習する意味が薄いこともある。こうしたときに、「とりあえず GOOD でもいいから繋がる」「クリア圏内に残れるように BAD を最小限に食い止める」ようにする方法がいくつかある。ただし、いずれも「緊急避難的」な手法なので、これで難しい譜面が叩けるようになっても、実力そのものが上がっているわけではないということは、よく認識しておく必要がある。

  • あんみつ(餡蜜)

同時押しでないパターンを、同時押しとして押してしまう技法のことを言う。高速なトリルや乱打、交互押し、ずれ押し譜面などに絶大な効果を発揮する。逆に、無理押し含みの同時押しの譜面を乱打や階段と認識して、ばらばらに叩く方法もある。正確に叩くわけではないので、GOOD を連発してしまう欠点はあるが、とりあえず繋がるようにはなったり BAD を最小限に抑えたりできる。これは非常に有名な技法なので、多分検索すればいくらでも出てくると思うからここでは説明を省略する。

  • スルー(故意の見逃し)

譜面によっては、ポップ君を1、2個無視する(叩かない)ことで、格段に押しやすくなる譜面がある。典型的なものに、無理押しパターンや、階段の途中に1つだけ同時押しが混ざっているようなパターンがある。無理に叩こうとして BAD を数個出すよりも、1、2個 BAD が出ることを許容して、最初からそのポップ君を無視すると決めてスルーすることで、ゲージの減りを最小限に抑えることができる。なお、単純に見逃すとゲージの減りが大きい(見逃しBADとなる)ため、可能であればタイミングがあってなくても(BAD判定となって)構わないので、そのポップ君に対応するボタンが叩けるような運指パターンを作っておくと良い。*2

  • 無駄押し

スルーの反対で、押しやすくするためにわざとボタンを空押しする方法。たとえば、三角押しの連打が続く譜面で、途中に一箇所だけボタンを2個だけ叩くような箇所があると、そこを意識しすぎることで BAD が大量に出てしまうことがある。そういうときは、すべてが三角押しだと思って叩く。すると空 BAD は出てゲージは減少するものの、ゲージの減り幅は最小限に抑えられることが多い。繰り返しパターンの途中に、一箇所だけ違うパターンが交じっているような譜面で使うと効果がある。

  • ランダム、ミラー、S乱(Super Random)

譜面そのものをオプションで変化させることで、叩けるようにしてしまう。左手では叩けなくても右手なら叩ける、というような場合は MIRROR 譜面にするとすんなり叩けることがある。階段や交互連打、縦押しなどが苦手な場合は、RANDOM や SUPER RANDOM にすることで叩きやすくなることもある。これもよく使われる方法のひとつ。RANDOM はあくまで運なので、叩きにくくなることも(むしろそっちのほうが)多い。

まとめ

最初に書いたように、どこに弱点があって、それをどのように克服すれば良いか、ということを繰り返し検討することが上達の早道だと思う。弱点がなくなれば、あらゆる譜面が叩けるようになる(あたりまえ!)。そのためにもに、どんな弱点を克服したのか、どうやったら BAD や GOOD が減ったのかという記録を取ることが、極めて効果的だと思う*3

*1:店舗内撮影禁止の店舗もあるので、撮影不可でないかの確認は必要

*2:ゲージの減り方についてはFormula -ゲージの増加量・減少量の秘密-を参照のこと。

*3:ていうか、KONAMI がそれをやってくれれば・・・