ポップンミュージック(Pop'n Music)の練習法についての考察 (2)



前回,ポップンの腕を上げるには,

  • あらゆるパターンを認識する能力を鍛える
  • 認識したパターンを再生できる、運指(運手)技術を習得する

という話を書いた.今回は,じゃあ具体的にどんな「パターン」を認識できて,なおかつ演奏できればいいのかという,具体的な話を少し書いてみる.パターン表については、ぱっと見て手ですぐたたけるか?を見る用途に使ってもらえればいいと思う。たたけないと思うパターンがあったら、そのパターンを含む譜面を探して練習するといいかも。低速で降ってきたらたたけるけど、高速で降るとたたけないというパターンも多いと思うので、譜面の速度についてもいろいろ試してみるといいように思う。

なお,今回は中級曲(曲レベルで 25-35 程度) あたりでよく見るパターンをメインに書いている.それより難しい曲については次回の予定.また,難易度や叩き方はあくまで私の個人的な見解にすぎない.これがベストとか絶対とかいうつもりは全くない.

片手パターン

片手で弾けるべき基本的なパターンをいくつか挙げる.両手で弾けばさほど難しくないパターンが多いが,中級以降はこれらのパターンを片手で処理させられる譜面が増えてくる.それぞれのパターンについて,片手で押す訓練をすることで,地力の向上が期待できる.

  • 横同時押し

同じ段の,隣接した二つのボタンを同時に叩くパターン.具体的には,下記の13,24,35,46,57,68,79の7パターン.

このうち,35,46,57の三つのパターンは左右どちらの手でもたたけるようにしておく.また,上段の24,46,68は親指を使わずに押す(人差し指and/or中指 + 薬指and/or小指)こともできるとなお良い.

  • 縦同時押し

上下段方向に隣接するボタンを同時にたたくパターン.具体的には,以下の12,23,34,45,56,67,78,89というパターン.簡単にみえて意外に難しい.45,56は,左右いずれの手でも叩けるようにしておく.

左手で叩く場合,12,34のような上段のボタンが右側にあるほうが押しやすい人と,23,45のように上段のボタンが左側にあるほうが押しやすい人がいるようだ(右手の場合は逆になる).いずれも押し方や指の使い方次第ではある.下段のボタンを手のひらを使う,親指を使う,小指を使って叩くといった,いくつかのバリエーションがある.どのように押すのが楽かは人によって違うので,いろんなたたき方を試してみるといいと思う.

  • 三つボタン同時押し

図のように,123,234,345,456,567,678.789という同時押しのパターン.下の段にボタンが2つあるパターン(123など)より,上段にボタンが2つあるパターン(234など)のほうが難しい.特に456を片手で取るのは,他に比べるとかなり難しい.このパターンの場合,右手でも左手でも取れるので,どちらで取るかを瞬時に決めた上で,さらに手を大きく動かす必要があるところが,難しさのポイントになっている.

このパターンは,物理的に叩くときの難しさもあるが,パターンを正しく認識することも最初のうちは難しいと思う.3つ同時押しがたくさんある譜面を集中的に訓練しておくと,自力が大いに上がる.

  • 3つ階段

上の三つボタン同時押しを崩して,階段状に順場に叩くようにしたもの.左から叩くものと右から叩くものがある.具体的には,左からの階段が1→2→3,2→3→4,3→4→5,4→5→6,5→6→7,6→7→8.7→8→9の7パターン,右からの階段が3→2→1,4→3→2,5→4→3,6→5→4,7→6→5,8→7→6,9→8→7の7パターンある.同時押しと同じ理由で,4→5→6,6→5→4が他より難しい.


  • 崩れ三つ組

三つ階段の順序を入れ替えたもの.ゆっくり降ってくると簡単だが,速度があがるにつれて指を高速に動かす必要がでてきて,飛躍的に難しくなる.パターンは,三つ同時押しパターン1つに対して4つあるので,計28パターンあることになる.たとえば,123という同時押しに対しては,1→3→2,3→1→2,2→1→3,2→3→1の4通りのパターンがある.

パターンの難易度は,人により感じ方にばらつきがあるようだが,先に上段を押してから後に下段を押すパターン(2→1→3,2→3→1,)のほうが,下段を先に押すパターン(1→3→2,3→1→2)より難しく感じることが多いようだ.また,同時押しと同じく,下段にボタンが2つあるパターンより,上段に2つあるパターンのほうが一般的には難しいようだ.特に,4→6→5を右手で,6→4→5を左手で取るのは難しい.

  • 縦連打

同じボタンを二回以上連続して叩くパターン.速度が遅ければ簡単だが,速度が上がるにつれて飛躍的に難しくなる.同じ速度でくる階段と比べても,縦連打のほうが難しく感じると思う.

縦連打は譜面の認識という面では簡単なので,いかに高速に叩けるようになるか,というところがポイントになる.重要なのは,手首や指の関節は上下に動かさず,指の形を固定したままできるだけ手首から先だけを動かして,軽く叩くようにすること.手首を上下に動かしたり指の関節を動かして叩くと,体力を大きく消耗したり指や手首の関節が疲労して1曲もたなかったりする.このあたりは個人差もあるので,手元動画などをみて自分にあう叩き方を研究しておくといいかも.

  • 1+同時押し

1→13,または1→12という順に,単体のボタンを叩いた後,そのボタンを含む同時押しが続くパターンのこと.逆の13→1,12→1というパターンや,13→1→13→1のように連続してくることもある.両手で取ればさほど難しくない.しかし,高速で振ってくるこのパターンを片手で取るには,結構な練習が必要になることが多い(ピアノなどでこういう譜面に慣れている人は別).

例によって,縦同時押し(1→12など)の含まれるパターンのほうが難易度が高い.

  • 2+三つ押し

同時押しの直後,または直前に三つ押しのあるパターン.12→123とか,123→13などがそう.速度が遅ければそれほどでもないが,高速で来るとかなり難しい.45→456のような,どちらの手で取るか判断が必要な,中央のパターンは特に難しく感じると思う.

このほかにも,図の右に示したような同時押し含みの連打があるパターンはいろいろある.どれも低速であればさほど問題にならないが,高速になればなるほど難しくなる.いろんなパターンを練習しておきたい.

  • 階段+同時押し

3つ階段のどこかに同時押しが混ざるパターン.よくあるのは,13→2→3とか1→2→13というような最初か最後に同時押しが混ざるパターン.難易度が上がると,1→2→35や1→24→3のように,同時押しが素直には押しにくいように配置された譜面もでてくる.いくつかのパターンを示すので,どのように押せば押しやすいかを考えておくと,実際の譜面を叩くときに役立つと思う.


  • 縦連打入り階段

階段の途中に縦連打が入るもの.1→2→2→3のようなパターン.これが高速で降ってくると,単純な階段より叩くのが格段に難しい.この連打部分の叩き方としては,単純に同じ指で連打する方法と,縦連打の部分で指を切り替える方法がある.後者の方法は,たとえば1→2→3→3→4→5のようなパターンなら,1→2→3と3→4→5という二つの独立した階段とみなし,1→2→3を小指,中指,親指で叩き,3を改めて薬指で叩きなおして4→5を人差し指,親指と叩く.どちらがいいかは人によると思う.


片手押し+必要に応じて両手押し

  • 4つ階段

3つ階段の延長で,階段を構成するポップ君が4つになったもの.1→2→3→4,2→3→4→5,4→5→6→7などのパターン.3つ階段と違って,片手で取ろうと思うと手を多少左右に動かす必要があり,3つ階段に比べて難易度がかなり上がる.両手で取る場合は,2つ+2つと取ってもよいし,1つ+3つあるいは3つ+1つというようにとっても良い.ただ,難易度の高い譜面になると,4つ階段は片手で取ることを要求されるようになる.

4つ階段が叩けるようになったら,5〜7の階段をまずは両手で(途中で手を換えて)取れるようにし,それができたら全部を片手で取れるように練習しておくといい.5以上の階段や,手の入れ替えについては上級編で別途詳しく説明する.

  • 折り返し階段

3→4→5→4→3のように,途中で折り返す階段のこと.折り返し部分(3→4→5→4→3の場合は5)だけ反対の手で取り,残りを片手で取ると比較的楽に取れる.4つ階段の場合(3→4→5→6→5→4→3など)なら,折り返しとその前後(3→4→5→6→5→4→3なら5→6→5の部分)だけ右手で取り,残りを左手で取ると楽になる.ただ他の階段と同様に,上級の曲では3〜5程度の階段の折り返しを片手で叩かされることも多い.いずれは片手で取れるように,練習しておく必要がある.


  • 横交互押し

1→3→1→3とか2→4→2→4のように隣接するボタンを交互に叩くパターンのこと.低速であったり,両手で取るならそれほど難しくない.しかし,片手でこれを処理するのは見た目以上に難しい.特に上段の2→4→2→4などの交互押しは,下段の交互より難しく感じることが多いと思う.


  • 縦交互押し(トリル)

1→2→1→2や4→5→4→5のように,縦同時押しをばらして交互に押すようなパターンのこと.これも低速であったり,両手で押せばさほど難しくはないが,片手で取るのはかなり難易度が高い.上段を先に押す4→5→4→5のようなトリルのほうがやや難しく,また1→2→1→2,8→9→8→9のような端のトリルは難しい傾向にある.


  • 螺旋階段

1→2→3→2→1→2→3というように,折り返し階段が何度も繰り返すパターンのこと.3つ階段を左右方向に繰り返すものが多いが,4つ以上のものもある.非常に高速に落ちてくるものがあり,片手でとりきれないことも多い.低速の場合,中央の2だけ左手で取り,右手で1,3を押すと押しやすい.高速の場合,12,23というセットが交互に降ってくると思ってあんみつ気味に取る方法もある.

また,1→3→5→3→1→3→5のように,後述の平行階段を左右に繰り返すパターンものもある.この場合は1,5を右手で取るのは難しいので,13,35の同時押しの交互とみてあんみつ気味にとるか,左で1だけ取り,右で3→5→3と取る(またはその逆).

  • 斜め螺旋階段

1→3→2→4→3→5というように,上段と下段の同時押しを交互に,かつ階段状にずらしながら叩くようなパターンのこと.言葉で説明するのは難しいので図で示す.

図のように,1→3→2→4→3→5というパターンと,2→1→3→2→4→3というパターンがある.叩き方としては,片手ですべて取る方法,両手で交互に取っていく方法,同時押し階段とみてあんみつする方法などがある.左から始まるパターンと,右から始まるパターンではまた印象も難易度も変わる.どのパターンが降ってきても手がすぐ決まるように練習しておくと,地力が大きく上がると思う.

  • 平行階段

1→3→5,2→4→6というような,同じ段のボタンを横方向に高速に叩くパターン.2→4→6→8,1→3→5→7→9というように,横方向すべてを高速に順に叩かせることも多い.高難易度の曲では3つまで片手でとらされることも多く,どのように取るか考えておく必要がある.


  • 跳び階段

1→2→4→5,2→3→5→6というような,階段の途中が抜けているもの.両手で取る場合は,二つずつ取ればよいのでさほど難しくない.しかし,このパターンは片手で取らされることも多く,その場合は見た目以上に手の高速移動を要求され,かなり難易度が高い.低速のこのパターンのある曲で,片手押しを練習しておきたい.


  • 上下段ずれ階段

1→3→4→6,2→4→5→7というように上下段にずれた平行階段.これは,物理的に押しにくいというより,認識ミスをしやすいパターンのひとつ.片手で3つ以上押すような,たとえば1→3→4→6→7→9というようなパターンもある.最低でも片手で3つまで,可能であれば4つまで押せるように練習しておきたいところ.


  • 二重階段

13,24,35,46というように横方向の同時押しが階段状になったもの.基本は両手で処理する.ただし,高難易度曲では片手で処理することを要求する譜面も出てくる.片手処理はきわめて難しく,習得の難しいパターンのひとつ.ただ35くらいまでなら両手で処理しても問題ない.

上手い人をみていると,手を前後や左右に移動させず,手の平を軸にして,手を回転させながら叩いていく人が多いようだ.もちろん,叩き方のよしあしは,手の大きさなどにも左右されるので,一概に何がベストはいいにくい.これも手元動画などをみて,どのような押し方が良いか研究するといいと思う.

両手押しパターン

  • 大階段

概ね7,8,9の階段のことを大階段ということが多いようだ.8,9の階段を片手で叩くことはまずなく,途中のどこかで手を切り替えることになる.4から7までのボタンの間の,どこで切り替わっても叩けるように練習しておくと,階段の途中に離れたポップ君が出てくるような譜面に遭遇したときにもあわてずに済む.


  • 出張同時押し,出張同時押し+α

右手で4,左手で6を叩くことを俗に「出張」といったりする.ので,ここでは14,69のパターンのことをそう呼んでみた.「左右振り」といわれる譜面で出てくる典型的なパターン.特に,左手で1などを叩いた直後に6を叩くのは,かなりの手の移動を要求されるため難易度が高い.

6や4を強く叩くと体力を消耗するので,できるかぎり少ない動きで「出張」できるよう練習しておく.なお,同時押しを含んだ,46+9というようなパターンも35以降の譜面ではよく見る.

  • 入れ替え同時

1+57の直後に5+79のようなパターンが来ると,最初の5は右手で叩き,次の5は左手で叩く必要がある.このような「手の入れ替え」を要求される同時押しが続くパターンのことを仮にこう呼んでいる.「左右振り」の一種.

2+46の次に46+8が来るといったバリエーションもある.いずれも,一見同じ手で叩けそうに見えて,入れ替えないと叩けないというところに難しさがある.こうした譜面は,手の動きよりも認識が正確にできるかという点が重要になることが多い.

  • 縦2+1同時押し

124というような,縦同時押し+1とも見えるし,1+平行同時押しとも見える譜面のことを仮にこう呼ぶ.どちらのパターンにでも分解してたたけるようにしておくことで,様々な譜面への対応力を高めることができる.


  • 上下段2+2同時押し

3568や2457というような,上下段の同時押しが二つセットになったもの.これも叩く難しさよりも認識の問題のほうが大きい.慣れの問題なので,ある程度慣れてしまえば押すのはそれほど問題にならないはず.


  • 2+3同時押し

12345,34567というような5つポップ君が並んだ同時押し.これも認識を失敗しやすい系の譜面.初見では,どこを左右の手の境にするか迷う.中央のボタンをどちらで押すか決めておくと対処しやすい.理想的には,どちらでも押せるようにしておくこと.

右のように,13456というような,1つ+4つの組み合わせに見える同時押しも認識に失敗しやすい.

  • デニム

1356→2468→1356→2468というような,両手で取る同時押しを上下段交互に繰り返すパターンのこと.135と246の繰り返しの場合や,1368,2479の繰り返しなど,上下段が食い違って出現する場合もある.

いずれも慣れていないと認識を失敗しやすい.ポップ君が多いパターンなので,これを押しそこなうと大抵の場合大きくゲージを失う.こうした譜面のある曲では,落とさないよう重点的に練習しておきたいところ.

ちょっとだけ注意

いくつかパターンを挙げた中では,同じパターンを別の名前で呼んでいるところもある.この名前の違いは本質的ではなく,あくまで理解しやすいように便宜上つけているだけのもの.ここでの目的は,いろんなパターンが存在していることを知って,それらを「認識」して「叩ける」ことであり,譜面を分類することではない.