ベートーヴェンピアノソナタ14番嬰ハ短調(第三楽章): Beethoven Piano Sonata no.14 (op.27-2)

言い訳みたいなもの

ふと最近、この曲を通しで弾こうという気になった。あまり練習する時間もないので、できるだけ少ない時間で効率的に練習する方法を考えてみたいと思う。といっても、あくまで個人的に特化された内容になるはずなので、誰かの参考になるかは分からない。でも何かの役に立つかもしれないので、一応ここで書いてみる。

ピアノソナタ14番は、いわゆる「月光ソナタ」と呼ばれている曲。ずっと昔にこの第一楽章を聞いて衝撃を受け、ひたすら練習したことがある。そのおかげで、未だにこの曲の第一楽章だけは、楽譜を見なくても弾ける。しかし、その当時は第二楽章と第三楽章は聞いたことがなく、どんな曲かもしらないまま10年ほどすぎた。あるとき、何とはなしに第二楽章と第三楽章を聞いてみたくなって、ホロヴィッツ先生のCDを買ってみた。そして第三楽章を聞いて、再び衝撃を受けた。

そのとき、改めてこのソナタを第一楽章から第三楽章まで通して弾いてみたいと思ったんだけど、アルペジオが苦手な私は第三楽章のしょっぱなからつまずた。そして、以後20年ほど放置することになってしまった。その後もアルペジオが得意になったわけでもないので、難易度は全く下がってない。とかくアルペジオの攻略が鍵になりそうだ。

個人的に難易度が高い部分をピックアップ

最初から最後まで楽譜通りにゆっくり弾いてみて、難しいと思った部分をピックアップ。抜粋画像の元は、IMSLP の #32718 の譜面を使わせてもらった。

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この曲の主題を形作る音形で、1小節からだけでなく至る所に出てくる。なので、これが弾けないと話にならない。現状では、ゆっくり弾けば問題ないけど、テンポを上げていくと音が全然揃わなくなる。これは単純に基礎ができてないからだと思う。重点的に練習すべきところ。

  • 178小節から188小節:上下に動く高速アルペジオ+半音階上昇

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全体を通してアルペジオが多い曲ではあるものの、最も難しいのはここから始まる上下に動くアルペジオの部分だと思う。前半のやや広めのアルペジオも難しいが、速度が速い183小節が格段に難しい。個人的には半音階上昇も不得意なので186、187小節もかなり悩ましい。相当な練習が必要そうなところ。

  • 30, 32小節:8-9度のトリル

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この部分、小指が短い私にとっては非常に難しい。そもそも指の長さ的に 9 度押すだけでもぎりぎりなのに、そこでトリルを弾くというのは物理的にかなり困難。30小節のほうはまだ 3-4 か 3-5 で無理やり弾けそうだけど、31 小節のほうは 4-5 でしか弾きようがなく、しかも 5 がほとんど届かない。このトリル、普通の人はさっくり弾けるものなのだろうか?だとしたら、指の長さが羨ましい限り。正直、この部分だけは最終的にいずれかの音符を削って弾くしかない気がしている。ちなみ同様のトリルが126、128小節にもある。

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両手の指すべて使って押すアルペジオ+和音が続く譜面。広さは8度以内なので、そこまで難しくはない。でも曲のクライマックスにかかる部分なので、ここをうまく弾けないと残念な感じになってしまいそう。そういう意味で練習がかなり必要そうな部分。

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右手と左手の音を合わせるのがなかなか難しいと思った。単純に左手のアルペジオを弾く技量が、右手に比べて大幅に足りてないせいでバランスが悪くなっている感じ。

  • 59小節から62小節に含まれる9度以上の和音とアルペジオ

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和音は物理的に指がぎりぎり。アルペジオはそれほど広くはないので、単純に練習不足なだけだろう。同様の譜面が他にも数カ所ある。ここは練習あるのみ。

  • 85小節の分散和音の中にある重音

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ゆっくり弾けば何ということはないのに、ある程度の速度で弾こうとすると破綻してくる。具体的には、重音部分で指がちゃんと同時に鍵盤を押してくれず、バラける。159小節にも、左手の譜面野中に分散和音中に重音があって、ここも同様に、速く弾くと破綻してしまう。ここは練習さえすれば、それなりに何とかなりそうではあるけど。

勝手な所感

多分だけど、上で挙げた以下の四箇所を弾ける(見込みのある)腕があれば、この曲は十分弾けると思う。

  • 1、2小節のアルペジオ(これと同じ音形が多数ある)
  • 30, 32小節の 9度を含むトリル(腕よりは手の大きさ、指の長さかも)
  • 59小節から62小節の9度の和音(同上)
  • 178小節から188小節にかけてのアルペジオと半音階進行